清水の隠れ家ビストロ、開業時の本音を初めて語ります

あれこれ

先日、常連のお客様からこんなことを言われました。「山田さん、なんでこの場所に店を開いたんですか?最初から地元の食材にこだわっていたんですか?」

正直に言うと、その質問に少し言葉が詰まりました。開業から14年が経って、今の形が「当たり前」になりすぎていたのかもしれません。でも、あの頃の気持ちを改めて思い出したとき、やっぱりこれは一度ちゃんと書いておくべきだと思いました。

今日は、清水区の住宅街の一角にひっそりと開いた「ワイン食堂シャンティ」の、開業時の本音をお話しします。「物語のある食事がしたい」と感じている方に、特に読んでいただけたら嬉しいです。

こんな方におすすめ

  • ✅ 食材の産地や生産者の顔が見える食事をしたい方
  • ✅ チェーン店では味わえない「物語のある料理」を探している方
  • ✅ 清水・静岡エリアで地元食材を大切にする店を知りたい方
  • ✅ 隠れ家レストランがどんな思いで生まれたか気になる方
  • ✅ 食べることを通じて地域の自然や農家さんと繋がりたい方
清水の隠れ家ビストロ、開業時の本音を初めて語ります | ワイン食堂シャンティ

「地元の良いものを知らなさすぎる」という悔しさが出発点でした

2012年7月。当時の私は調理師として28年近くのキャリアを積み、フランスのビストロ料理を長年学んでいました。でも、ある日ふと気づいたんです。

「静岡にこれだけ良い食材があるのに、なぜそれを使った料理を食べられる場所がこんなに少ないんだろう」と。

富士山の麓で育つ岡村牛。お茶の産地・清水ならではのお茶を飲んで育ったTEA豚(お茶豚)。清水港に毎朝揚がる新鮮な魚。由比で採れる桜えび。契約農家の方々が丹精込めて育てる野菜たち。これらは、静岡に住む私たちの「すぐそこにある宝物」です。

でも当時、そういう食材をきちんとストーリーとして伝えながら提供している飲食店は、私の知る限りとても少なかった。「もったいない」という言葉しか出てこなかったんです。

「地元にある良い食材や自然に気づいてもらいたい」——その一心で、清水区西高町の小さな物件に飛び込みました。店名「シャンティ」は、サンスクリット語で「平和・安らぎ」を意味します。食べた後に、体も心も穏やかになってほしいという気持ちを込めました。

「地元の良いものを知ってほしい」という原点は分かった、でも実際にどんなメニューや食材ストーリーがあるのか、もう少し具体的に知りたくなっていませんか。公式サイトでは、岡村牛やTEA豚など看板食材の詳細、季節ごとのコース内容をまとめてご覧いただけます。

シャンティの食材・メニュー詳細を公式サイトで見る ›

住宅街を選んだ理由、それも「地元への敬意」でした

「なぜ駅前じゃなくて住宅街に?」これも、よく聞かれる質問です。

答えはシンプルで、「地元の方に日常的に来てほしかったから」です。駅前の賑わいの中にある店より、少し歩いて見つけてもらえる店の方が、来てくださった方との関係が深くなる気がしました。実際、食べログの口コミにも「住宅街を少し入ったところで、こんなところにお店があったんだ!といった印象。接客、味も満足度が高い」という声をいただいています。「発見」の喜びを感じてもらえる場所、それがこの西高町という立地の答えだったのかもしれません。

また、清水の隠れ家フレンチがなぜ住宅街にあるのかについては別の記事でも少し触れていますが、今日はその「開業時の本音」の部分をより深くお話しします。

桜橋駅から徒歩10分ほど。最初は「遠い」と言われることもありました。でも、生産者の方々が手間を惜しまず育てた食材を使う店が、「アクセスが良ければそれでいい」という理由だけで場所を選ぶのも、なんか違うと思っていたんです。少しだけ足を運んでくださった方が、その分だけ「よし、ゆっくりしよう」という気持ちで席に着いてくださる気がしました。それは今も変わらない感覚です。

✓ ここまでのポイント

  • 「地元の良いものを知ってほしい」という悔しさと使命感が、シャンティ開業の原点です。
  • 住宅街という立地は偶然ではなく、地元の方と長く・深くつながるための選択でした。
  • 店名「シャンティ(平和・安らぎ)」には、食べた後に体も心も穏やかになってほしいという願いが込められています。

「落ち着いた照明で、大人な雰囲気」という口コミを読んで、実際にゆっくり過ごせるか・予約の仕方が分からないと感じている方もいるかもしれません。LINEからなら24時間いつでも席の空き状況やコースの内容について気軽に確認できます。

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生産者との関係は、14年かけてようやく「ネットワーク」になりました

開業当初、契約農家さんとの関係は今ほどスムーズではありませんでした。「飲食店にそんなにこだわった野菜を出してどうするの?」と最初は懐疑的に見られることもありました。それでも毎週顔を出し、畑の話をして、料理に使った感想を伝え続けました。

今では、バジルやナスは私自身が畑で育てています。生産者の立場を少しでも体験することで、食材への敬意が変わりました。土を触って初めて分かること、水やりを忘れた翌朝の葉の様子——そういう経験が、料理の一皿に確実に乗り移ると信じています。

富士山岡村牛のスネ肉を赤ワインで4時間かけてとろとろに煮込む「岡村牛の赤ワインとろとろ煮込み」は、2年連続で金賞を受賞した看板メニューです。でも私にとってこの料理は「受賞作」というより、岡村さんたちが育てた牛への「返礼」のようなものです。その牛の生き様に応えられる調理をしたい、ただその一心で4時間の煮込みを続けています。

TEA豚(お茶豚)も同じです。清水という土地でお茶と共に育ったブランド豚を使うことは、この地で店を開いた者としての「筋」だと思っています。

「清水で2次会、ゆったり飲みたくて来店。店内は落ち着いた照明で、大人な雰囲気」

食べログ口コミより(2025年10月)

この口コミを読んだとき、「ああ、伝わっているんだ」と思いました。落ち着いた照明、大人の雰囲気——それは演出のためではなく、食材や料理の物語をゆっくり感じてほしいという意図から自然と生まれた空間です。騒がしくなく、急かされない。だからこそ「ゆったり飲みたい」という気持ちに応えられる場所になれたのかもしれません。

清水で本当の意味での「大人の隠れ家」を見つける方法を探している方に、シャンティという選択肢が届いていると知ることができた口コミでした。

「食べたら翌日の体が違う」と言ってもらえた日のこと

開業から数年が経ったころ、常連の女性のお客様が「ここで食べると、次の日体の調子がいいんだよね」とおっしゃいました。その一言は、今でも私の中で一番大切な言葉のひとつです。

料理人として「美味しい」と言われることはもちろん嬉しい。でも「体の調子がいい」という言葉は、食材の選び方・調理法・量のバランス、そういうものが全部つながって初めて生まれる評価です。

契約農家の減農薬野菜をたっぷり使うこと。自然派ワインにこだわること。素材の味を壊さない火入れを心がけること。これらは「健康志向のため」と意識してやっていたわけではなく、「良い食材に失礼のない料理をしたい」という気持ちの延長にあります。結果として、食べた翌日の体に現れてくれたなら、これ以上嬉しいことはありません。

静岡新聞では毎月第一月曜日にレシピを連載させていただいていますが、そこで紹介するレシピも同じ考え方です。「体に優しいワインとフランスのビストロ料理をカジュアルに」——この言葉が、14年間変わらないシャンティの軸です。

また、清水で女子会にシャンティが選ばれる理由についても別の記事で地元の女性たちの声をまとめています。体への配慮と食材の物語、その両方を求める方にとって、参考になる内容だと思います。

開業時に誰にも言えなかった本音

ここからは、本当に初めて書くことです。

開業当初、「地元食材で、生産者の顔が見えるビストロ」というコンセプトが、正直なかなか理解してもらえませんでした。「普通においしい洋食屋さんをやればいいじゃないか」と言われたこともあります。「岡村牛?TEA豚?聞いたことない」という反応も珍しくなかった。

それでも続けられたのは、食材を届けてくださる生産者の方々の顔が頭にあったからです。「この方たちが育てたものを、どうしても知ってほしい」という気持ちは、経営が苦しいときも揺らぎませんでした。

2025年のブログで「じつは閉店寸前でした…」と書きましたが、あの経営危機を乗り越えられたのも、シャンティの「物語のある食」を信じてくれたファンの皆さんのおかげです。あの経験が、生産者との関係をさらに大切にしようという決意に変わりました。

14年という時間は、一枚のメニューや一杯のワインではなく、積み重ねた関係性の厚みです。岡村牛も、TEA豚も、契約農家の野菜も、今やシャンティのテーブルに「物語ごと」乗っています。それが、この小さな隠れ家ビストロが清水の住宅街で続いてこられた理由だと、私は思っています。

まとめ:食材の物語を知ると、一皿の見え方が変わります

「生産者の顔が見える食事がしたい」という気持ちは、決して贅沢ではありません。食べることを通じて地元の自然や農家さんと繋がりたい——その感覚はとても豊かで、正直な欲求だと思います。

シャンティは、その感覚にまっすぐ応えようとして14年間続けてきた店です。住宅街の一角にひっそりとある16席の空間ですが、テーブルに乗る食材一つひとつには、名前と物語があります。

秋の入り口を迎えたこの時季、岡村牛の赤ワイン煮込みがまた恋しい季節になってきました。ぜひ一度、食材の物語ごと味わいにいらしてください。

ご予約・お問い合わせは、お電話でも受け付けています。
📞 054-352-3769(月・火・金・土・日・祝 11:30〜14:00 / 17:30〜22:00)
※水・木曜日は祝日でもお休みをいただいています。

14年間、生産者との関係を積み上げてきたシャンティの物語を最後まで読んでくださった方へ。次の一歩は、実際にテーブルに着いて、食材の物語を味わうことです。LINEから予約いただくと、当日の食材や旬の一皿についてもご案内できます。

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