清水区でワインバーを開く、本当の理由をお話しします

あれこれ

「清水にワインバーなんて流行るの?」「住宅街の奥に店出して、お客さん来るの?」

開業を決めたとき、周りにそう言われた回数を数えたら、きっと両手では足りないと思います。

正直に言えば、自分でも迷いました。静岡駅前に出店すれば人通りは確保できる。でも家賃は跳ね上がる。メニューもそれに合わせて変えざるを得なくなる。「体に優しい、地元の良いもの」より「コスパが良くて映える」が求められる場所に、自分が本当にやりたいことを持ち込めるだろうか——そう自問したとき、答えは「ノー」でした。

こんにちは、ワイン食堂シャンティ店長の山田です。今日は少し長くなりますが、この店を清水区の住宅街に構えた本当の理由をお話しさせてください。

こんな方におすすめ

  • ✅ シャンティがどんな思いで生まれたお店か知りたい方
  • ✅ 清水区で「外さない」ワインと食事の場所を探している方
  • ✅ 地元食材や生産者にこだわった料理に関心がある方
  • ✅ 体に優しいフレンチやナチュラルワインに興味がある方
  • ✅ 記念日や特別な日に清水区内で使えるお店を探している方
清水区でワインバーを開く、本当の理由をお話しします | ワイン食堂シャンティ

調理師28年目の私が、なぜ清水の住宅街を選んだのか

調理師としての仕事を始めてから、もうすぐ30年になります。フランス料理の世界に入った当初は、いわゆる「格式のある店」で修業しました。厚いクロスのかかったテーブル、ソムリエのフォーマルな所作、コースのたびに緊張する食卓——それはそれで美しい世界でした。でも、食べ終わった後に「また来たいな」と思ってもらえているかどうか、正直なところよく分からなかった。

転機になったのは、ある農家さんとの出会いです。清水区で野菜を作っているその方が、収穫したばかりのズッキーニを持ってきてくれたとき、香りが全然違うんです。泥がついたまま、まだ温かみの残るズッキーニ。それをソテーしたら、調味料はほとんど要らなかった。

「格式のある場所」で出していた料理より、この一皿の方がずっと豊かだと思いました。食材そのものが主役になれる料理。それをもっとカジュアルに、日常の延長で食べてもらえる店にしたい——その気持ちが、2012年の開業を後押ししました。

清水区を選んだのは、単純に「ここが地元だから」というだけじゃないんです。富士山を水源にした清らかな環境で育つ岡村牛、お茶文化が根づいているからこそ生まれたTEA豚(お茶豚)、清水港に上がる魚……。この土地に来れば、食材が集まってくる。地元にいながらにして、フランスのビストロに負けない素材と出会える場所だと確信していました。

開業直後の正直な失敗談——「誰も来ない夜」のこと

それでも、最初から順調だったかというと、全くそんなことはありません。

オープンして最初の冬、金曜の夜に予約がゼロという日が続きました。手作りのメニュー表を並べて、ワインの温度を整えて、でもドアが開かない。閉店時間になって一人でグラスを片付けながら、「本当にここで続けられるのか」と布団の中で考えた夜が何度もありました。

当時の自分が犯していた失敗は明確で、「料理の質だけ上げていれば、お客さんが来てくれる」という思い込みでした。住宅街の奥にある店は、存在を知ってもらうところから始めないといけない。その発信が圧倒的に足りていなかった。

そこから始めたのが、ブログと食材の発信です。畑でバジルを育てた話、農家さんの顔が見える野菜との出会い、岡村牛のスネ肉を赤ワインで4時間煮込む理由——そういう話を地道に書き続けました。すると少しずつ、「ブログ読みました」というお客様が来てくださるようになった。そのとき、「料理の背景にある物語も、一皿の一部なんだ」と気づきました。

✓ ここまでのポイント

  • 地元清水区の食材ネットワークがあったからこそ、住宅街での開業を決意できた
  • 開業当初は「料理の質だけで勝負できる」という思い込みが失敗の原因だった
  • 食材のストーリーを発信することで、店とお客様との本当の関係が始まった

「次の日体の調子がいい」という言葉が、今も指針になっています

14年続けてきた中で、もっとも心に刺さった言葉があります。あるお客様が食べログに書いてくださった一言です。

「ここで食べると、次の日体の調子がいいんだよね」

食べログ公式PRより(女性客)

これを読んだとき、涙が出そうになりました。美味しかった、とか、また来たい、という言葉ももちろん嬉しい。でも「翌日の体調がいい」というのは、料理が本当に体に届いた証拠だと思うんです。

私がワインを選ぶとき、自然派(ナチュラルワイン)を中心に据えているのも、まさにこの理由からです。亜硫酸塩の添加を最小限に抑えた自然派ワインは、過剰に飲まなければ翌日に残りにくい。「ワインが好きだけど、次の日が怖くて」という声をよく聞くのですが、それは量だけでなく、ワインの作り方にも関係しているんです。

料理の側でも、契約農家から届く野菜を多品目たっぷり使うことで、胃への負担が変わります。「パリのお惣菜屋さんのサラダ」と呼んでいるオードブルの盛り合わせも、野菜と発酵食品と少量の肉・魚を組み合わせることで、食べ終わった後に「重くない」と感じていただけるよう設計しています。体に優しいワインとフランスのビストロ料理をカジュアルに楽しんでほしい——それが開業当初から変わらないテーマです。

「住宅街を少し入ったところで、こんなところにお店があったんだ!といった印象。接客、味も満足度が高い」

食べログ口コミ(2024年11月)

岡村牛の赤ワイン煮込みが2年連続金賞を獲れた理由

シャンティの看板メニューである「岡村牛の赤ワインとろとろ煮込み」が2年連続で金賞をいただいたとき、審査員の方からこんな言葉をもらいました。「素材の力が出ている」と。

正直、特別な技術を使っているわけではありません。富士山の岡村牛のスネ肉を、赤ワインでただひたすら4時間煮込む。それだけです。でも、この「素材の力」という言葉は、清水区という土地を選んだ理由と完全に重なります。

静岡新聞での月1レシピ連載を始めてからも、「難しい技術より、良い食材を選ぶことの方が大切」という話を繰り返し書いています。調理師歴28年でたどり着いたのが、技術の引き算なんです。引いて、引いて、残ったものが本物の味だと信じています。

だから今でも、自分の畑でバジルやナスを育てます。スーパーで買えるものをわざわざ育てるのは非効率に見えるかもしれない。でも、自分で種をまいて水をやって収穫したハーブを料理に使ったとき、それは単なる香り付けじゃなくなるんです。「どこから来たか分かる食材」で作る料理には、物語が宿る。その物語が、食べてくださる方に伝わると信じています。

清水区に根ざした店であり続ける、という選択

清水区は人口が減少しています。これは隠しようのない現実で、地元に商売をする者としてじっくり向き合ってきた事実です。2025年のブログで「じつは閉店寸前でした」という記事を書いたとき、本当に多くの方から連絡をいただきました。「山田さんのお店がなくなったら寂しい」「また行きます」——その言葉一つひとつが、今も財産になっています。

人口が減っても、一人ひとりとの関係を深くすれば良い。そう思うようになってから、LINE会員の方へのお知らせや季節ごとのコース案内など、「関係性のマーケティング」に力を入れてきました。カウンターで名前を覚えて、好みを知って、次に来たとき「前回のあのワイン、また入りましたよ」と言える店でありたい。それは数字で測れる価値ではないけれど、14年続けてきた中で一番大切にしてきたことです。

清水区でワインバーを続ける本当の理由、少しだけ伝わりましたか。難しいことを言いたかったわけじゃなくて、要するに「ここの土地が好きで、ここの人たちと食卓を囲みたかっただけ」なんだと思います。店名のシャンティがサンスクリット語で「平和・安らぎ」を意味するように、誰かがほっとできる場所でありたい——その気持ちは、開業1日目から今日まで変わっていません。

まとめ:清水区の隠れ家で、あなたの「ほっとする夜」をお待ちしています

長々と読んでくださってありがとうございました。改めてお店の案内を。

ワイン食堂シャンティは、静岡県清水区の住宅街にある小さなフレンチビストロです。ランチは「リトルヤミー清水店」としてふわとろオムライスを、ディナーはアラカルトや季節のコースを、地元食材と自然派ワインとともにお出ししています。桜橋駅から徒歩約10分、店前に駐車場もございます(2〜4台)。

記念日のご相談、接待でのコース手配、「体に優しいワインを飲みたい」という一人来店——どんなご要望でも、まずお気軽にご連絡ください。LINE会員になっていただくと、季節の限定情報やグラスワイン1杯プレゼントのクーポンもお届けしています。

お電話は 054-352-3769 まで。

ご予約・詳細はこちらから:
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清水区で、皆さんにお会いできる日を楽しみにしています。

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